譜面の整理棚(ナラ)

譜面台を納めた知り合いのお友達のご依頼を受けて、ピアノの下に収める譜面の整理棚を作りました。
依頼された方が使っている譜面サイズを教えていただき、一番大きな譜面が横向きで入れられるようにしました。

使った材料はナラ、アクセントのためにブラックウォルナットで天板、側板に連続する形でラインを入れました。引出しにも同じようにウォルナットのラインを入れてます。

サイズは横幅490mm、高さ650mm、奥行き390mmです。仕上げはオスモカラーオイル、ノーマルクリアです。

ご依頼を受け、ロールフロントを付けた簡易引き出し、かまち組のキャビネット、板組のキャビネットなどの案で外観図を作り相談しましたが、日頃ピアノのそばで使うには棚形状の方が日常の譜面の出し入れに使いやすいだろうと判断され写真の形に落ち着きました。

最下段には小物類を入れられるように、引出しを一段つけました。下は引出しを少し前へ出した状態です。

前から見ると下のようになります。棚には少しでも譜面が引き出しやすいように中央部分に丸い切り込みを入れてます。

背面は次のようになってます。

背板は外せるようになっています。3枚の背板が互いに段欠きで合わさるようにし、周囲の溝で固定しています。両側の溝は夏冬の木の膨張/収縮を吸収するように深くなってます。また、中央の板は外側に反らないように内側に薄い板を貼り合わせ、逆向きに反らせる工夫を入れてます。

引出しです。

外側と見た目を合わすために前板はナラにブラックウォルナットのラインを入れ、側板・背板と底板は柾目の檜を使ってます。
引出しの前板と側板の接続は、テレビ台などと同じく包み蟻です。
取手はつけず、下方に横長の溝を付け、内部の上側に切り込みを入れて指の引っかかりを付けてます。人が両手で引き出しを引きやすい幅になってます。

本体は台輪と呼ばれる台座の上に乗ってます。タンスなどによく使われているものです。高さを合わす目的だとか、汚れ・湿気が入りにくくする効果だとか、引出しを引き出しやすくする効果があります。今回は高さを合わすためと、天板の幅とバランスを取るために入れました。

下が組み立て前です。留め形隠し蟻の仕口です。昔作った新聞トレイと同じ方式です。

台輪と本体との固定はコマ留めを使っています。裏側から見ると下のような感じです。

板の伸縮を考えて、前後は穴の深さを深くしコマも長くし、横は穴を幅広にして夏冬で板が伸縮しても動きを吸収できるようにしています。

天板と側板の固定は二段ホゾ組みにしています。しっかりとした固定が期待できます。

 

完成後、山梨にお住いの自宅まで納品に行きました。
結局ピアノの下には置かなかったですが、近くの窓の下に置きました。喜んでいただけたのが心からうれしかったです。

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